作家の器の基本
作家の器は、和食器の中でも特別な価値観があります。
-December 01, 2018 At Utsuwayayuuyuu
作家の器とは?量産される器との違いは?和食器の世界を見てみましょう。
ー 和食器の作り方は、大きく分けて3種類。
和食器は、作家が作った器、職人が作った器、工業製品の器と大きく分けて3種類に分類されます。3種類とも和食器と呼ばれ同じようにカテゴライズされることが多いですが、器の作り方や考え方は異なります。
ー 作家ものの器と、職人や工業製品の器との違いは?
職人や工業製品の器は、「同じ品質、同じ寸法に揃える」ように器を作ります。それに対して作家の器は、揃いものであっても「同じスタイルで、個別の風合い」の器を作ります。
陶芸家・新学さんの和食器・伊賀灰釉マグカップ
ー 同じスタイルで、個別の風合い?
陶芸家・新学さんの伊賀灰釉マグカップを参考に見てみましょう。上記の伊賀灰釉マグカップは、同じ日に同じスタイル(規格)として制作されています。ですが、高さや、口縁、持ち手部分、釉薬の流れ方、焼きにも差異があるなど、スタイル・ディテイルは同じでも、一客ごとに「違った呼吸」を感じとることができます。
ー 同じ器を作るのではなく、ライブ感を作る。
作家にとって器とは、自分を「表現する言葉」のようなものです。同じ言葉を使っても、その瞬間の「揺らぎ」や「間」が器に現れ、職人や工業製品の器にはない、1客ごとに個々の存在感を持っています。
ー 作家の器が持つ、特別な価値観とは。
では、作家はどんな器を作ろうとしているのか。現在の作家の器について、陶芸界のレジェンド・鯉江良二さんに伺うと、「今の器は、あまりしゃべってないね。昔の器は、よくしゃべってるよ。笑ったり、怒ったりと器がちゃんと主張してるんだよ。」
ー おしゃべりな器。
作家は、器に”主張”を宿します。見ているだけで自由で解放的な気持ちにさせる器、ひっそりと佇み、よりそってくれるような気持ちにさせてくれる器。まるで空間で器たちがしゃべってるかのような器をめざしています。
ー ふぞろいの美しさも。
現代ではきちんと整えられたデザインがたくさんあるります。ですが、山や海を見て感動するように、整えられていない自然なデザインにも感動します。伊賀焼のレジェンド新歓嗣さんは、「アシンメトリーなものこそ日本の美意識」と捉えています。
新歓嗣さんによる日本の美意識について。
ー 1つしかない風景で暮らすこと。
作家の器は、色が違ったり高さが整ってなかったりと様々です。うつわや悠々では、古の茶陶から現代の器と受け継がれる和食器の良さは、そんな作家の手仕事跡に残る時間の断片にもあると、考えています。「この器ゆがんでるけど・・、なんかいいね。」「高台の高さや色の違いが、いろいろあって楽しい。」など、その器にしかない”おしゃべりな主張”を楽しんでいただけたら幸いです。